悠久のロマン求め、各地を巡る

江戸川の主婦サークル
「歴史同好会」活動二十五年

古代のロマンを求めて飛鳥路へ、太平記の舞台を訪ねて隠岐島へ、はたまた天女や浦島伝説が伝わる地方を巡り歩いて、史跡を自分の目で確かめ、土地の人たちに話を聞く。江戸川区内の主婦たちのサークル「歴史同好会」(伊藤文代表、会員十九人)が発足して、今年でニ十五年目を迎える。三月には、五年間にわたる風土記学習の成果を研究紀要にまとめた。いまは平安京の歴史を学習しているが、「若い人たちに入会してもらい、一緒に歴史を勉強できれば」と意気盛んだ。
同会は江戸川区教委の成人学級講座の受講者が集まり、七六年に発足。元都立高校教諭で「将門風土記」「鉄と浮囚(ふしゅう)の古代史」などの著書がある歴史研究者の柴田弘武さんを講師に招いて、毎月小松川図書館(同区平井一丁目)で勉強会を開いている。会員の平均年齢は約四十歳。北条政子、道鏡、奥州藤原氏、古事記、太平記など古代・中世の人物や史書を研究、フィールドワーク(現地調査)もしている。
九四年からまる五年かけて、「播磨国」「豊後国」「肥前国」の風土記と四十八か国の風土記逸文を読了し、学習成果を五年ぶりに刊行した研究紀要「ながれ 第九号」にまとめた。
浦島太郎伝説の「浦島子」物語にひかれて、丹後半島(京都府)に出掛ける人、日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征の跡を調べたくて東北を訪ねたり、道後温泉(愛媛県松山市)を訪れるなど、会員一人一人が風土記のなかで最も関心を特った説話について研究するため現地を踏んだ。
「万葉集などに比べ風土記は地味な印象がありますが、各地方の庶民の暮らしがよく分かって面白い」と、編集委員の小松崎輝子さん(66)(同区船堀四)は言う。主婦のサークルで、風土記を逸文まで含めて全巻読み通した例は少ない。
会員全員でフイールドワークに出掛けることもある。八四年に弥生時代の銅剣三百五十八本が発掘され、「古代史を塗り替える一大発見」と話題を集めた島根県斐川町の荒神谷遺跡を八五年に訪れたときは、銅矛(どうほこ)と銅鐸(どうたく)が掘り出されている発掘作業の現場に出くわし、翌日、テレビや新聞が報じているので、びっくり。「発掘現場をテレビや新聞に出る前に見られて感動しました」と松丸明子さん(66)(同区南小岩四)は振り返る。
播磨国の風土記の道をたどり野見宿祢(のみのすくね)塚(兵庫県竜野市)を訪ねたときは、曲がりくねった山道を登り、急こう配の石段を上がって塚にたどり着いた。桃太郎伝説を追った岡山県の吉備路の旅では、吉備高原の切り立ったけわしいがけに築かれた鬼ノ城の城壁の壮大さに目を奪われた。
発行を重ねた紀要は、次で節目の十号となる。毎回、「書けない」「困った」と言いながらも皆が原稿を持ちよって、まとめあげてきた。「出来上がるまでに何年かかるか分からないが、記念の十号が発行できるよう頑張りたい」と会員たちは意気込んでいる。問い合わせは同会 03-3651-2785へ。

(『東都よみうり』2000・5・25、より転載)


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